あらすじ
*注 ネタバレを含みます。
ごく平凡な生活を送る気弱な女子高生、仁科朋華。だが彼女の体に眠る闇の使い魔、十鬼神『死神』を巡って事態は一変する。奇妙な時期に転向してきた荒神冬摩。彼は魔人の血を引く退魔師だった。冬摩と魔人の下部である召鬼とが対立し始めた事から、朋華は『死神』に覚醒し、日常からの脱却を余儀なくされる。
古来より敵対し続けて来た魔人と退魔師。本来、魔人達の側の存在である冬摩は、千年前自分の恋人であった未琴を魔人、龍閃に喰い殺されたことにより、復讐のため退魔師側についていた。
物理的な『痛み』を力の発生点とし、強大な力と揺るぎない非情の精神を持つ冬摩。しかし顔立ちといい、時折見せる意思の強い性格といい、未琴の面影を色濃く持つ朋華との衝突によって、冬摩の中で過去に捨て去った感情が首をもたげ始める。則ち、『優しさ』という想いが。
そんな冬摩の前に龍閃の召鬼として黄泉還った未琴が姿を現した。龍閃に殺されたはずの彼女。その仇をとるために冬摩は千年間生き続けてきた。しかし未琴は龍閃の忠実な下部である召鬼となることで黄泉還った。矛盾の生み出す葛藤。それが未琴の死によって終結した直後、朋華が龍閃によってさらわれたことを知る。
朋華を救うため、龍閃の居る樹海に足を踏み入れた冬摩。そこで仲間の裏切りにあい、多量の血液と左腕を失う。満身創痍となった肉体。冬摩は朋華を奪って逃げることが精一杯だった。だが真の姿である巨大な龍に変容した龍閃が冬摩の退路を断つ。
死が間近に迫った時、朋華が自分を殺すことで『死神』を受け取ってくれと冬摩に言う。それは朋華なりに考え抜いた覚悟だった。
悲嘆の絶叫を上げ、朋華の命を奪う冬摩。その時に生じた精神的な『痛み』により冬摩に新たな力が宿る。その圧倒的な力は真の姿となった龍閃さえも凌駕した。
戦いが終わり、冬摩は苦渋の末『寂しさ』に負けて朋華を自分の召鬼として黄泉還らせる。そして二人は悠久の時を掛けて互いに歩み寄り始めたのだった。
転校生、荒神冬摩の出現によって『死神』に覚醒した朋華。彼女はこれから非日常の生活を歩み始める。
突然、冬摩の前に姿を現したかつての恋人、未琴。
龍閃の召鬼となった彼女は朋華の持つ『死神』を欲していた。
ついに現れた龍閃。彼の圧倒的な力の前に冬摩は敗走を強いられる。
味方だと思っていた玲寺の裏切り。激闘の末打ち倒すが、冬摩は彼を殺さなかった。
朋華の死。それによって目覚めた冬摩の新たな力。もはや龍閃すら敵ではなかった。
「誕生日? 俺の?」
冬摩の誕生日をお祝いしたいと言い出した朋華。しかし千年以上も生き続け、その殆どを戦いに明け暮れて過ごした冬摩は思い出せない。
取りあえず『死神』に聞いてみることにするが……。
冬摩と芝居とマッドサイエンティスト(35枚)
「血液チョウダアアァァァイ!」
冬摩の血を狙って襲いかかる新たなる敵(?)、永原冥琉(ながはら めいる)。
彼女の目的は『冬摩クローン』で世界征服? あの手この手で採血を試みるが……。
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