「白雨病院の経営はワタクシが必ず立て直してみせますわ!」
「雛守小梅さんは僕が必ず守り通してみせるのです!」
それぞれの目的を掲げ、白雨病院を舞台に二人が動き始める。
「あなたは雛守さんを救うために、ワタクシは病院の経営を立て直すために、
院長を何とかしたい。利害は一致してますわ」
「分かったのです」
打倒院長を胸に、二人は手を組むことになったのだが……。
「院長を追い詰めるためにしなければならないことは二つ。
この病院の人の出入り調査、それと手毬歌の解読ですわ」
「話はよく分からないのですが、よく分かったのです」
小梅から得た情報。今ひとつ信頼性に欠けるが、取り合えずそれに賭けるしかない。
「これが病院の人の出入りデータなのです」
「やっぱり……思った通りですわ……」
徐々にほぐれてきた謎の糸筋。しかし黒い幼児の介入で更に複雑な物に……。
「もう本格的にダメなのです……。死んでしまいたいのです……」
「じゃあ勝手にやってろですわ。今はそんなことよりも――」
通天閣の口から漏れた院長の秘密。そこに込められているのは真実への糸口か、それとも……。
「あなたが、夜水月……」
「小夏さんは絶対に渡さないのです!」
再び昴の前に姿を現した夜水月。
小夏の病室へと向かう彼を追って昴は疾走するが、そこにいたのは……。
「雛守さんに感じていた違和感の正体……そういう、ことですの……」
「しょうがないのです……事故なのです……」
小夏の口から語られる手毬歌の意味、彼女の過去。
そして全てを見計らったように、夜水月が取り引きを持ち掛ける。
「菊華さん! 危ないのです!」
「もうあなたに、賭けますわ……!」
夜水月との激しい戦い。関わった者達を全てを巻き込み、それは終結へと向かっていく。
「まぁそんなわけで、これからも末永くよろしくお願いするのです」
「……好きにしやがれですわ」
複雑な関係で結ばれてしまった昴、菊華、そして小夏に小梅。落ち着くのはまだ先になりそうだ。