貴方に捧げる死神の謳声 第三部 ―黄泉路からの慟哭―

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あらすじ

       

壱『這い寄りし序幕』

 かつて龍閃を討つため、共に戦った真性魔人・水鏡魎。
 周囲に知られる事無く生き延びた彼は、再び表舞台へと姿を現す。
三年間行方を眩ませていた篠岡玲寺を連れ、彼の奇妙な企てが始まった。その真意の行く末は……。

弐『幼き狂喜、猛き殺意』

 ついに動き出した水鏡魎。計画の初手を成すため、久里子、麻緒へと直接手を伸ばす。
そして魎の考えを読み始めた玖音。彼の発した一言が、また冬摩を変えていく……。

参『交わらぬ想い』

 久里子の失踪により、一端が垣間見え始めた魎の策謀。
暴走する冬摩、知略を巡らせる玖音、冬摩を憂う朋華、凶喜に浸る麻緒、
そして虚ろな心を抱いた玲寺と彼の真意を探る久里子。
それぞれの想いは、また魎の手中なのか……。

四『拭えぬ憂慮』

 麻緒と合流するため、夕薙病院に向かった玖音達。しかしソコで待っていたのは陣迂との邂逅。
そして時を同じくして、冬摩の前に魎が姿を現す。
怒りで我を忘れる程の戦いの最中、抱いていた葛藤がより鮮明な輪郭を帯び始めた。

五『鬱屈と困惑』

 玖音に呼び戻され、再び自室で合流した冬摩と朋華達。
大所帯に阻まれながらも、二人の仲は少しだけ進展……?
しかし遅れて入ってきた玖音の一言、そして美柚梨の出現により、事態はまた大きく揺れ動く。

六『闇子の継ぐ血筋』

 美柚梨の自由を取り戻し、ひとまずの安息を得た玖音。
これまでの事実とソレに基づく推論から、魎の考えを冷静かつ的確に読んでいく。
そして裏を取るため、玖音は冬摩達と別れて行動を開始した。しかし、用意されていたのは意外な結末だった。

七『血で結ばれし猛き力』

 玖音の知略によって、久里子の捕らわれている場所へとたどり着いた冬摩達。
しかしソコにはすでに陣迂が回りこんでいた。
そしてぶつかり合う力と力。
陣迂との戦いの中、冬摩はかつての懐かしい想いを感じる。ソレはあの牙燕と拳を交えていた時のような――

八『解き放つ』

 土御門財閥の館へと戻り、冬摩の帰りを待つ朋華達。しかし一向に戻ってくる気配は無い。辛く重々しい内面を抱えたまま、何かを求めて彷徨い続けている。
そんな冬摩とは対照的に、麻緒は玲寺との狂気の宴に身を委ねる。哄笑を上げ、血に酔い、殺戮を求めて、天才児の力が開花する。そして最後に立っていたのは……。

九『定められた敗北』

 都心から離れた小屋の中。魎は玖音と会話する。ソコに込められていたのは六百年も昔からの想い。特別な感情。そして魎は先を見つめる。
――荒神冬摩の敗北を。

十『三番目の方法』

 朋華の失踪、御代の暴走、麻緒との再会。
久里子の前で目まぐるしく変化し続ける状況。まさかコレは魎の罠……? いや、それならば……。
久里子は御代の後を追い、しかしたどり着いた場所に居たのは魎ではなく……。

十一『殺す。殺せ』

 冬摩の目の前で無残に散って行く命。視界に焼き付く血の光景の中、獰猛な意識が理性を断ち切る。
そしてぶつかり合う陣迂と麻緒。凄絶な戦いの末、強者は弱者を見下ろし――

十二『左の慟哭』

 朋華を想い、暴走寸前の意識を辛うじて繋ぎとめる冬摩。
そして『死神』の口から紡がれる一つの可能性。久里子が立てる一つの仮説。
魎が狙っているのは――

十三『シナした』

 ソコは白い場所。景色も空気も、声も意識も。
ボクは初めて、そこでシナした。そして頭を撫でてもらった。
間違っていない。コレでいい。ココが――ボクの居場所なんだ。

十四『連なる不意』

 魎を探すため、二手に分かれて行動を始めた冬摩と麻緒。
冬摩は『白虎』で、麻緒は『玄武』で玖音の持つ『朱雀』を求める。
先に共鳴したのは冬摩の『白虎』。しかし現れたのは――

十五『左腕、孵化、置きみやげ』

 突如として冬摩の目の前に現れた魎。その口から語られる計画の全容。
ソレはあまりに緻密で、あまりに突拍子も無く――。
『左腕の力』、『卵の孵化』、『龍閃の置きみやげ』、全ての言葉が一点に帰結する。

十六『龍閃』

 消えていく。無くなっていく。躰が、一欠片も残さずに……。
薄れ行く意識の中、冬摩の視界が最後に映し出したのは麻緒の姿。
そして――内側から死者の産声が上がる。

十七『偽りの休息』

 あの激しい戦いから一ヶ月。偽りの区切りに苛立ち、戸惑い、悩む面々。
まだ何も終わってなどいない。その事は皆分かっている。
だがそれでも自然と気持ちは薄らぎ、そして安らいで行き――

十八『うつろいゆく』

 生ある者の心はひとところには留まらぬ。
他からの関わりにより、ゆるみ、ひずみ、ふくらみ、はじけ、そしてうつろい続ける。
人であれ、魔人であれ、みな等しく……。


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